これまでのこと~This is me~

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前からこの歌に惹かれるものがあって、これを映像も含めて見ていたら、涙が出てきた。

 

さいころからなぜか花が好きだった。両親が共働きで、祖父や祖母が世話する庭で小さいころ長い時間を過ごしていたせいなのか、なんなのかわからない。気づいた時には花が好きだった。多くの男の子が好むような、例えば電車や戦隊モノにはまるで興味がなかった。ある人からは花が好きだと「女の子みたい」と言われたし、別の人からは「おじいさんみたい」と言われた。「あれ、もしかして自分は変なのか」「人と違うのか」という気持ちが芽生えてしまった。中学生になっておこずかいで園芸店に買いに行くようになったし、親と遠くのお店に行くようにもなったが、「花が好きな自分」がすごく恥ずかしかった。育て方について店員さんに聞きたかったけれど、聞くのも恥ずかしくて、親に代わりに聞いてもらったりした。素直に自分を明かせない自分がもどかしく、自分が嫌いだった。今であれば世の中には「いろんな人がいる」と思えるけれども、狭い世界にいたこどものころの自分の視界には世の中の「いろんな人」の存在は、まだ入ってこなかった。小さいころから身についてしまった、「自分を嫌って悩み苦しむ癖」は世界が広がった今でもなくなったわけではない。でも、広い世界に触れたおかげで少しずつ「This is me」と思えるようになってきた。

 

今「自分は変なのか」「普通とは違うのかも」ということで悩んでいる人に言いたいのは、今の見えている狭い世界を抜け出して、「いろんな人」がいる場所に出会うことが一番の「クスリ」だということだ。「いろんな人」との出会いを積み重ねることが「This is me」の悟りにいたる道だと思う。インターネットは技術的には世の中のいろいろなものが検索できるけれども、自分が今の時点で「狭い世界」しか知らないと、結局「狭い世界のインターネット」にしか出会うことができない。スタートはまずそこからだと思う。これは自分にも常に言い聞かせて、ダークサイドに傾きがちな自分を奮い立たせている。

 

あと、小さい頃の自分に上記のような言葉を投げかけた人たちに思うこと。誰かに似たようなことを言ったことがあるという人は、何気なく、悪気無く言ったそのひとことが、相手のその後の人生を大きく苦しめることになりうるということを知って欲しい。特に「女の子らしく」「男の子らしく」のジェンダー関係のことはすごく要注意な言葉だと思う。

 

今こどもを育てている方へ。ぜひ自分の子供が「本当は」「なにをしたいか」「なにがすきなのか」をよくよく観察してほしい。親の「○○してほしい」「○○な人になってほしい」はあなたの願望です。こどもの幸福を願うのならば、あなたの願望はいったん脇に置いて、よくよくこどもを観察してほしい。こどもはあなたの愛情が欲しいから、あなたの願望を見抜いて、それに合わせようとしてくれます。そのいじらしい姿は子育てのだいご味だと思いますが、こどもがあなたを、こども自身の人生を犠牲にして、喜ばせてくれているんです。こどもの幸福を願うならば、どうすればいいか自ずとわかると思います。だけど、そんなスタンスで日々こどもに接するのは難しいんですよね。親自身も「本当は自分がなにをしたかったか、なにをしたいか」わからないままの人も多いので。こどもを観察していくことは、親である自分自身への問いかけや振り返りにもなっていくのかと思います。そして、悩みに悩みながらも、そんな自分への振り返りや、こどもの観察を続けることは、やがて「大いなる悟り」を開く道へとつながっていくのでは、とも思っています。

 

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